ワトソンとクリックによるDNAの二重らせん

生化学ノート
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今回はおなじみのDNAの二重らせんです。
ワトソン・クリック構造ともよばれ、DNAの構造の根幹とも言えます。

前回の復習
  • 核酸はヌクレオチド中のリボースの3’位とホスホジエステル結合を介してつながっている。
  • 端は5’位と3’位が空いた状態となるので、それぞれ5’末端、3’末端とよぶ。
  • 生物は5’末端→3’末端の順番で核酸を合成していく。
遺伝子を化学的に見ると:「核酸」と「ヌクレオチド」
遺伝子というと我々の生命を構築する「情報」という捉え方をされることもあるが、つまるところ実際は化学物質である。ということは化学反応をすると、電子の動きや結合の変換を紙面に描くことができる。我々の遺伝子を構成する基本物質として「核酸」と「ヌクレオチド」について紹介していく。

DNA2本鎖の間のつながり

DNAは基本的に二本鎖の状態を取っています。さて、ではそれぞれの鎖はつながっていくのでしょうか。
それは塩基間に水素結合を形成することでつながっているのです。

「塩基同士」といっても、4種類の組み合わせどれでも良いわけではなく、きちんと相手が決まっています。
化学構造で見て、水素結合を取りやすい組み合わせがあります。これは実際に見てみたほうがわかりやすいでしょう。以下のようになります。

Shargaff's law点線は水素結合を示しています。
このように「G・・・C」、「A・・・T」のペアを作ります。ですので、たとえば片方の鎖がアデニンであれば、もう一方の鎖の対応する塩基はチミンと一意的に決まります。
これを経験的に導いた科学者の名から「シャルガフの法則」とよびます。

上の図を見てわかるように、「G・・・C」は水素結合が3本で、「A・・・T」は水素結合が2本です。
これが何を表すかというと、「G・・・C」が多ければ多いほど、DNA二本鎖は強固に結びついていると考えることができます。PCRを使う方は、二本鎖がほどけにくくなるため、GC%を高くしないように気にしますね。
そこにはこの水素結合の数が関わっています。

DNAの二重らせんの発見

DNAがらせん状分子であるという決め手はDNA繊維のX線回折写真です。
クリックはX線結晶学に精通していたことから、以下のように読みました。

  • DNAはらせん状分子である。
  • 平らな芳香族塩基が繊維方向に重なり合っている。

その後の研究で補足された点はあるものの、大まかにはこの発見がベースとなっています。

現在では以下のようなことがわかっています。

  • DNAの二本鎖は逆平行で右巻き
  • 塩基はらせんの中心部にあり、糖・リン酸基は周辺に来ることでリン酸基の電荷の反発を防ぐ。
  • らせんの表面には幅の違う2つの溝があり、大きい方から主溝、副溝という。

DNAが二重らせんを持つメリット

DNAが二重らせんを形成する一方で、RNAは一本鎖を取る事が多いです。
ではこれがどういうメリットがあるのでしょうか?

RNAと比べるとDNAは遺伝情報の保存の側面が大きいです。
そのため、「長期間」「同じ情報を安定的に」保持し続ける必要があります。

DNAの構造自体、RNAよりも分解しにくくはなっているのですが、生物の進化によってDNAが長くなってくるとそれだけ切断のリスクというのも上がってきます。
そこで、二重らせんを取ることによって、以下の2つのメリットが生まれるものと考えられます。

  1. DNAの物理的強度の上昇
    2本鎖を作ることによって、立体的ならせん構造ができ、物理的な強度が上昇します。
  2. 万一破損した際のバックアップ
    たとえば、一方の鎖に変異が加わってしまった場合でも、もう一方が正常であれば、正常な方の鎖を鋳型とすることで修復することができます。塩基の組み合わせが決まっていることを利用しています。

最後に

シャルガフの法則で一方の鎖の配列が決まれば、もう一方の鎖の配列が決まることが明らかとなり、セントラルドグマの理解にも大きく貢献したと言われています。
複製はもとより転写、翻訳もこの相補性を利用している側面があるためです。

もう一つの核酸であるRNAについて見たページもあるので、一緒にご覧いただければ幸いです。

RNA:DNAとは何が違うのか?
RNAは遺伝情報であるDNAから転写されてできる。DNAとの違いはぱっと見あまりなく、以下の2つといえる。糖の2’位が水素(-H)ではなく、ヒドロキシ基(-OH)であること。チミン(T)の変わりにウラシル(U)が用いられる。

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公開日:2017年10月21日