プレプリントを社会人研究者のスキル向上に

preprint-worker-skillup 科学コラム

プレプリントに関して以前に記事を書きました。

プレプリント論文による論文紹介
だいぶ前に出た記事ですが、興味深い記事が載っていました。「プレプリントサーバ」に上がっている論文を利用して論文紹介をするトレーニングの有用性について述べています。私はもう大学院生ではないのですが・なぜプレプリントなのか?・どんなメリットが有るのか?というのを考えてみたいと思います。

紹介した記事はアカデミアの若い研究者を対象として書かれています。
しかし、これは企業に勤めている研究者にも有効な自己研鑽になるのではないかと考えました。

今回はこの点について少し掘り下げてみます。

要点としては

  • 社会人は学術雑誌にアクセスできない人も多い
  • プレプリントを普段の勉強に使ってみよう!
  • プレプリントサーバbioRxivを使ってみて
  • 雑誌紹介するといいトレーニングになる

といったことについて書いています。

普段の勉強にプレプリント

プレプリントの一番のメリットは、ネット環境があれば誰でも読めることです。
社会人になると、論文にアクセスする環境がなくなってしまう人も多いのではないでしょうか。

会社としてはコスト的な問題があるのでしょう。
研究者側として見れば、最新の技術や知見に触れる機会がなくなってしまいます。

特に化学分野では、なかなか社会人研究者には勉強教材がないと感じています。
(あったら教えてほしいくらいです。)

結局は、教科書を読むといったインプットが中心になってしまうでしょう。
これでは地道なトレーニングとなり、続けるにはかなりの精神力が必要です。

私は教科書を読む日々を送っていましたが、途中で続けられずに遠ざかってしまいました。
このブログでも、以前は教科書的な基礎の部分をまとめていましたが、最近取り組めていないのはこの挫折というのが大きいです。

そこで色々探してみたところ、プレプリントサーバにアップされているプレプリントが有効ではないかと思いました。

実際にプレプリントを眺めてみて

私も社会人になって論文を読めないモヤモヤを感じました。

私はタンパク質化学が専門ですので、「bioRxiv(バイオアーカイブ)」が一番合致しています。

しばらくbioRxivで論文を探して読んでみました。

感じたことを書いていきます。

論文を読まないと読む力はすぐに落ちる

大学院生の頃は毎日論文に触れていました。
それで論文を読む力がある程度ついていたのでしょう。

久々に論文の構成をした文章を読むと、読み解くのにすごく時間がかかりました。

もちろんプレプリントと学術雑誌の論文という違いもあるとは思いますが
明らかに頭の中に入っていかずにつっかかる感覚があるので、最初はショックを受けました。

やはり論文を読むのを止めると、すぐに落ちていきます。
それで急に論文を読む機会が来た時に大変な思いをするだろうと言うのは目に見えました。

色々なアイデアが浮かぶ

最近はプレプリントサーバの認知度が上がってきたのか、日々多くの論文が並びます。

それだけ多種多様の研究結果に触れることができます。

もちろん、中身が正しいかはしっかりと見極めなければいけません。
それでも色々なインスピレーションを得ることができました。

持論ですが、アイデアは「科学的に正しいか」を考えすぎないほうがいいと思っています。
それは実験を組む段階で考えることで、普段はリミッターを外して考えようと心がけています。

この点から言うと、査読がないことがむしろメリットのようにも思えてきます。
世界中の研究者が考えていることをよりフィルターが少ない段階で見れるからです。

フォーマットがバラバラなのは読みにくい

ストレスに感じるのは、フォーマットがバラバラなことです。
当然、学術雑誌への投稿を、目指しているので仕方がない面もありますが。

また、先に本文が来て、後に図表がまとめられているものが多いです。
これでは本文と図表のページを行き来しながら読む必要があります。

PC上で読むとスクロールが大変です。
印刷して本文と図表を並べて読むと、この不便さは多少解消されます。

雑誌紹介をやればプレゼン力向上にも

これまでは自己研鑽という観点で書いてきました。

でも、インプットの先にはアウトプットが有るべきです。

そこで専門の似通った人たちで、雑誌紹介(ジャーナルクラブ)をやってみるのも面白いかもしれないと思いました。
(そういうのやりたがる人はいるのでしょうか・・・私はやってみたいです)

発表や質問・議論を通して、アイデアをアップデートするきっかけにもなります。

また、社会人になってからは、プレゼン力を鍛える機会というのはなかなかありません。
いきなり本番を任される場合が多いのではないでしょうか。

雑誌紹介は、プレゼン力を維持向上させるのにも役立つでしょう。

いかに社会人研究者が自己研鑽するか?

私は社会人になってから、自己研鑽をする時間が減っていることを危惧しています。

自己研鑽が大事なのはわかっていても、日々の業務や付き合いなどで時間が潰されます。
能動的に時間を取りに行かないと確保することができません。

こう考えると、雑誌紹介は効果的な予感がしています。
一石二鳥以上の効果があるような気がしています。

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