プレプリント論文による論文紹介

journal-club-preprint 論文紹介

だいぶ前に出た記事ですが、興味深い記事が載っていました。
対象は大学院生のようですが、非常に面白かったです。

Journal clubs in the time of preprints

「プレプリントサーバ」に上がっている論文を利用して論文紹介をするトレーニングの有用性について述べています。

私はもう大学院生ではないのですが

・なぜプレプリントなのか?
・どんなメリットが有るのか?

というのを考えてみたいと思います。

プレプリントとは?

プレプリントとは、簡単に言うと、ドラフト段階の論文原稿と考えていいでしょう。
論文を学術雑誌に掲載されるのに必要な査読を受ける前の原稿です。

査読を経ていないので、専門の研究者による「お墨付き」がない状態です。
あえて、査読前の論文原稿を論文紹介に用いるメリットはどのようなところにあるのかを述べてみます。

論文が雑誌に掲載されるプロセスを追跡できる

学術雑誌に載っている論文はすでに完成形のものです。
最初の投稿時の文章からどのようなプロセスを経て掲載に至ったのかは見えません。

一方でプレプリントサーバに上がる論文は基本的に第1稿です。
査読に回り、コメントを貰う前の原稿を見ることができます。

全てではないと思いますが、それらの原稿は最終的に学術雑誌への掲載を目指しているはずです。

学術雑誌に掲載された場合、原稿を見比べることによって

・どこのデータを追加した(あるいは削除した)のか?
・どこの記述を直したのか?

などを追跡することができます。

本来は自分が論文を書くときになって、初めて経験するものです。
特に修士課程の学生はこのプロセスを体験する機会を持つ人は珍しく、経験がないまま修了してしまう人も多いです。

将来、自分が論文を書くことになる際にも参考になるでしょう。

論文の質を判断する力がつく

プレプリントサーバの誰でも投稿できる分、デメリットもあります。
簡単な審査はあるようですが、内容まで精査はされないため論文の内容の質は様々です。

時には論旨がめちゃくちゃだったり、データの解釈の記述が粗雑すぎる論文に出会うことはあります。

論文になっていると、ついつい書いてあることがすべて正しいと考えがちです。
あまり考えたくはないのですが、論文は正しく厳密に書かれたものばかりではないのです。

たとえ、査読を経た学術雑誌でさえもそれは起こりえます。

「いいもの」と「悪いもの」を見ることで、内容が本当に正しいのかを判断する目を養うことができます。

研究者として論文を出していきたいならいいトレーニング

記事中ではレフェリーとしてコメントを残せるサイトもあるので、ぜひやってみようとあります。

査読を経験するのは少なくともポスドク以上の研究者になりますので、学生ではほとんど経験できません。
私もやったことはありません。

余力があれば、実際に体験するのは間違いなくいい経験になるとは思います。
とはいえ、仲間内であれこれ議論するだけでも有用でしょう。

今回紹介した記事はこちらです。3ページくらいの短い文章なので、気になる方はぜひ。
Open Accessで誰でも読むことができます。

●雑誌会(ジャーナルクラブ)についてはこちらもどうぞ

文献紹介(ジャーナルクラブ)への取り組み方
研究室の中では、持ち回りで文献紹介(ジャーナルクラブ)が行われるところも多いだろう。とはいえ、自己流で取り組んでいる人も多いのではないだろうか。もし、研究室で具体的な指針が示されているなら、それに従ってもらえればいい。そのような指針がなく、なんとなくやっているようなら参考にしてもらいたい。

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