文献紹介(ジャーナルクラブ)への取り組み方

大学院生活

研究室の中では、持ち回りで文献紹介(ジャーナルクラブ)が行われるところも多いだろう。
とはいえ、自己流で取り組んでいる人も多いのではないだろうか。

もし、研究室で具体的な指針が示されているなら、それに従ってもらえればいい。
そのような指針がなく、なんとなくやっているようなら参考にしてもらいたい。

文献紹介では、限られた時間で、聴衆に論文の中身を理解してもらい、内容に関してディスカッションする必要がある。
ディスカッションが盛り上がり、研究に関する着想を得られたら有意義な時間となる。

発表者は、有意義な時間となるように準備をする必要がある。

文献紹介で取り上げる文献の選び方

選び方として大事なのは、聴衆と発表者の情報量の格差が激しすぎないようにするということ。
格差を埋めるのが発表なのだが、あまりにバックグラウンドが違いすぎると、差が埋まりきらず不完全燃焼に陥る可能性がある。

聞いたことのないジャーナルの論文は避ける

断っておくと、論文の内容や質は本来ジャーナルとは無関係である。
しかし、聞いたことないというジャーナルは対象範囲が非常にニッチであることがある。

そうすると、その分野では常識でも、外からはわかりにくい表現も説明無しでどんどん出てくる。
読む方も大変だし、それを説明しても聴衆には理解されないだろう。

ジャーナルがニッチであっても、自分の分野では有名であれば問題ない。
そういう意味で、知っているジャーナル名から選ぶほうがいいだろう。

研究に直接関連しそうな文献を選ぶ

研究室の研究内容から大きく逸脱しない方がいい。

新たな視点を示そうと、全く未知の分野の文献を選んでもうまくいかない場合が多い。

たとえば、蛋白質の発現精製が得意なラボなのに、マウスの遺伝子編集を使った論文を紹介しようとするとした。
研究目的やその遺伝子がどう働いていると考えているか、というのはわかるだろう。

しかし、ジャーナルクラブでは実験手法や結果の説明をしなければならない。
門外漢にはこの部分に付いていくのが厳しい。

その結果、内容が薄くなってしまい、結論だけしっかり述べても、聴衆には受け入れてもらえない。

このように「今後やりたい」や、「ちょっと畑違いだけど面白そう」というのはあまりおすすめしない。
メンバーの理解が追いつきにくく、発表者が突っ走ってしまいがちになってしまう。

文献の読み方

さて、文献が無事に決まった。ここからは文献を読んでいくところに入る。
私がこのセクションで言いたいのは、「著者の主張をしっかりと読み取ること」に集約される。

実験条件はヌケモレなく読み取り、整理する

実験条件(Experimental Procedure)は導入から著者のやりたかった実験につなぐために大事。

Journal_Club_Experimental_Procedure

上の図の最後の部分「こうやった」の部分に相当するのが、実験条件である。

ラボミーティングのときにも似たようなことを書いたが、実験条件は必ずしも全てを表には出さない。
しかし、聴衆が疑問を持ったときに対処できるようにスライドとしては準備しておくべきである。

研究を進める原動力:ラボミーティングへの心構え
研究室に入ると、定期的にミーティングをする機会があるかと思います。ただ時間が設けられているだけの場合はただ何となくやってしまっている人もいるのではないでしょうか。工夫次第では短時間で効率良いミーティングにできると考えます。

図は丁寧に読み取る

もちろん著者の言いたいこと・主張したいことの根拠となるのが、実験データである。
ここはしっかりと読み取る。

図の軸がなにかや、単位などもそうだが、図同士の関連性を意識しながら読んでいくと良い。
論文の核になるデータなので、読み違いのないように。

著者の主張をしっかり読み取る

雑誌紹介では発表者の主観は必要ないと考える。
もちろん、個人的に持っておくのはいいし、質疑などで自分の意見を乗せて答えるのはいいだろう。

しかし、雑誌紹介で大事なのは何よりも著者の考え方である。
著者がどう主張しているかを一番に考えるべきで、そこに自分の意見を少し足す程度にする。

まとめるのにノートを作る

やり方は人それぞれなので、必ずしもこうする必要はない。
自分のやりやすい方法で取り組んでほしい。

その上で、私が学生時代にやっていたやり方を紹介する。
私は以下の図のような感じで、ノート(ルーズリーフ)を用いてまとめていた。

Journal_Club_Note

論文そのままでは字が小さすぎるので、Wordなどに文章をコピーして適度に行間を空けて印刷していた。
ノート見開きで左に本文、右に新たに調べたことなどを書き記す。

この方法は文献内容を整理することができ、資料作りにも役立つ。
また、発表時でも、見返すときに参照しやすくなるメリットもある。

発表準備:資料作成の際に注意すること

何よりもPowerPointなどのスライドで資料を作ることを推奨する。

印刷したレジュメだと、図解を作るよりも格段に楽な文章での説明で済ませがちになる。
これではとても聴衆に優しい資料とは言えない。

作るのは大変だが、ぜひ図解で示すトレーニングと思って取り組んでほしい。
スライドの作り方に関しても、いくつかコツはあるが、それはまた別記事でまとめる。

著者の主張の流れに乗せて資料を作る

資料を作る上で重要なポイントはやはりここと考える。
自分の研究発表セミナーと異なる点は、他人の主張をなぞることだろう。

文献の読み方のところでも示したが、同様の点が重要となる。

  • どういう背景で研究したか
  • 何に注目したか
  • どういう方針で明らかにしようとしているか
  • どういう過程で明らかにしていったか

実験条件は入れるけど、全部説明する必要はなし

実験条件に関しては、最初は結果の図を説明するのに必要な部分のみでよいだろう。
しかし、当然質問として受ける部分はあるはずなので、資料としては用意しておくべきだ。

実験原理に関しても、よほど特殊なものでない限りはこの方式で良いかと思う。

この辺は私はラボミーティングのときと同様であると考える。

研究を進める原動力:ラボミーティングへの心構え
研究室に入ると、定期的にミーティングをする機会があるかと思います。ただ時間が設けられているだけの場合はただ何となくやってしまっている人もいるのではないでしょうか。工夫次第では短時間で効率良いミーティングにできると考えます。

図の説明はしっかり

実験条件は最低限でいいが、結果の図は仮説の証明の根幹となるので、しっかりと説明すべきである。
以下の点に注意するといい。

  • 縦軸・横軸は何を示すか
  • 値が上がる(下がる)と何がどうなるのか
  • 値の変化によって、何かが良くなる(悪くなる)のか

資料の中に示すべきか、口頭でいうかは馴染みのある実験かで変わってくる。
どちらにしろ、発表者は即答できるように準備しておくべきである。

著者の主張を伝える

何度も言っているが、論文の著者がどんな主張をしているのか?をまとめる。
その上で、自分の意見や考えを上乗せするのは構わない。

ただし、反対意見を出したりするのは、控えたほうがいいだろう。
最も、そういう論文は最初から選ばないだろうとは思うが。

最後に:他研究室の研究の縮図からアイデアを得る

自分の研究室の中だとアイデアが凝り固まる。
文献紹介から、アイデアやまた違った視点で研究を見られるメリットがある。

学会もかなり刺激にはなるが、そう何回も行けるわけではない。

また、文献紹介は論文を読み解くトレーニングとしても重要である。
割と軽く考えて、直前に一夜漬けのように仕上げる人もいたが、しっかり取り組んでほしい。

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