目の前のDNA溶液はどんな配列?:ジデオキシ法による配列決定

核酸
前回の復習

塩基にはACGTUがあるが、もし現実的に目の前にDNA溶液があったとする。
どうやってその配列(並び方)を知ることができたのだろうか?
当然肉眼では見えないので、色々と工夫をする必要がある。

今回は塩基配列決定法の元となったジデオキシ法について解説する。
現在使われている配列決定法とは少し異なるところはある。

概要

ジデオキシ法は主に以下の3ステップからなる。その概略図を更にその下に示す。

  1.  加熱によって一本鎖DNAを作る
  2.  分けた一本鎖に4種のヌクレオチドそれぞれで終わる相補的ポリヌクレオチド断片を作らせる
  3.  断片を分けて検出する

画像を基に、1つずつ見ていく。

一本鎖DNAをつくる

検出はDNAの配列そのものを読むのではなく
その相補鎖を作って、相補鎖の配列を読み取りたいDNA配列に読み替える。
なぜ、相補鎖を読み取るのかが、この手法のキモとなるが、それは2番で説明する。

とりあえず、相補鎖を読み取る準備として、まずは2本鎖をほどいて1本鎖とする。

相補鎖を合成する

相補鎖を作るためには、以下の材料が必要となる。

  1.  4つの塩基それぞれのデオキシヌクレオチド(dNTP):DNAの材料
  2.  DNAポリメラーゼ:dNTPをつなげる酵素
  3.  蛍光標識した開始剤(プライマー): 5’末端の配列に相補的な短いDNA断片→何もない状態からは相補鎖を作れないため、足がかりとなる断片を用意する。
  4.  2′, 3’-ジデオキシヌクレオシド三リン酸(ddNTP)→この手法の鍵となる化合物である。本来の2’位に加え、3’位も水素(-H)になっている。

3’位が-OHじゃないと、次のdNTPをつなげないため、伸長反応が止まってしまう。
つまり、止まったところは加えたddNTPが持つ塩基に相補的な塩基ということになる。

よって、4つそれぞれのddNTPを含む反応液で反応させると、そのddNTPの相補塩基で止まったいろいろな長さの断片ができる。

断片を検出する

「色々な長さ」とくれば、検出には電気泳動が適している。
各塩基を持つddNTPを加えて行った4つの反応液を並べて電気泳動する。

電気泳動の進む距離は長さに比例するので、下から順に読んでいけば、鎖の配列を読み取ることができる。
昔はこうやって塩基配列を解読しており、時間も手間もかかる大変な作業だった。

現在の塩基配列決定法

以上の原理をもとに改良されたものが使われている。
プライマーに別々の蛍光色素をつけておき、4つの鎖延長反応を別々に行わせる。

その後、反応液を一緒にして、1レーンでゲル電気泳動する。
ゲルの底から溶出する各断片の蛍光からどの塩基かがわかるので、配列を読み取ることができる。

この試料調製と蛍光測定はロボットによって自動化されており、人の手間はだいぶ少なくなった。
非常に短期間で正確性の高い結果を受け取ることができる。

これによって、「塩基配列を読む」というのは一般的な手法となっていった。

最後に

自分は使ったことはないのであくまで伝聞だが、配列決定に用いるシーケンサーという装置はメンテナンスが大変だそうだ。

その上、最近はこのような塩基配列の決定を受託する企業も増えてきた。
よほど頻繁に配列決定を行う研究室以外では、自分で配列決定をするというところは少ないかもしれない。

しかし、気軽に「配列を知るツール」が使えるようになったことで、遺伝子工学の発展に貢献したのは確かであろう。

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