RNA:DNAとは何が違うのか?

生化学ノート

核酸にはDNAとRNAがあるということはすでに述べました。
これまでDNAについて書いてきたので、RNAについてももう少し詳しく見ていこうと思います。

前回の復習

DNAとRNAの違い

RNAは遺伝情報であるDNAから転写されてできるものです。
(実際はそれだけではないのですが、ここではそういうことにしておきます。)
DNAとの違いはぱっと見はあまりないように見えますが、以下の2つが挙げられます。

分子組成が違う

まず、そもそもDNAとRNAでは糖の部分の元素組成が違います
糖の2’位に付いているのが水素(-H)ではなく、ヒドロキシ基(-OH)です。

Difference-Ribose

原子1個分の違い?と思うかもしれませんが、これが安定性に非常に大きな差を生み出します。2’位がヒドロキシ基であることによって、反応性の高い孤立電子対を2つ持ち、マイナスの電荷を持っていることになります。
すると、このヒドロキシ基はホスホジエステル結合を求核攻撃し、切断してしまいます。

RNA-degradation

これが、「RNAは分解されやすい」と言われる理由の1つです。
DNAの「遺伝情報の保存」と異なり、RNAはタンパク質への情報の橋渡しです。そのため、必要以上にタンパク質を作ることがないよう、役割を終えたら分解される必要があります。この用途の違いを酸素原子1つの違いで変えているといえます。

チミン(T)の変わりにウラシル(U)が用いられる

DNAとRNAでは使われる塩基も異なります。DNAではTで表されるチミンですが、RNAではその代わりに以下の図で示すウラシル(U)が用いられます。

T-U

なぜわざわざDNAとRNAで異なる塩基を用いる必要があるのか?
これはDNAがUを用いてしまうと、不利なことが起こってしまうからです。少し詳しく述べましょう。

塩基の中にはシトシン(C)がありますが、この塩基は脱アミノ化反応を起こすことが知られます。
脱アミノ化するとどうなるかというと、ウラシル(U)になってしまいます。もしDNAもウラシルを塩基として用いていた場合、「ウラシル」と「脱アミノ化でUになったC」の区別ができなくなってしまいます。

「長期的な遺伝情報の保持」という役割があるDNAが、このような曖昧な情報を持つのはリスクがあります。そのため、DNAはチミンを用いるようになったと考えられます。

ではでは、なぜRNAは紛らわしいウラシルを用いているのか?とも思うかもしれませんが、ここでは割愛します。

RNAは一本鎖

二重らせんを形成するDNAと対照にRNAは原則一本鎖を取ります。その代わりに、鎖の中で塩基対を作ることで、高次構造を作ります。ステム・ループ構造が代表的です。
この高次構造の形成に関しては、RNAの重要性を物語るものとして注目されます。次章で述べます。

RNAは単なる遺伝情報の橋渡し?

RNAは従来、DNAからタンパク質を作る際の橋渡し役であると考えられてきました。
しかし、RNAが高次構造を取るのは、単にRNAが遺伝情報をタンパク質に翻訳する役割だけではないという風に考えられています。

例えば、RNAの高次構造にタンパク質が結合することで、翻訳速度を調節するような配列が存在することが知られています。

また、最近ではRNA自体は酵素のような働きをするものが明らかになってきています。
これをRNA(ribonucleotide)と酵素(enzyme)をかけ合わせ、リボザイム(ribozyme)とよばれます。

この発見から、生命にとって重要な過程が始まったのは小さなポリヌクレオチドの多彩な能力が発端になっていくRNAワールドという説を支持するものとして考えられています。

最後に

DNA→RNA→タンパク質という一連の流れ(セントラルドグマ)があるところから、RNAは脇役であるイメージを持つかもしれませんが、その認識は改める必要がありそうです。
RNAワールドはむしろ生命の始まりであるということも言われており、非常に興味深い説です。

セントラルドグマについては、以下のページで解説しています。

遺伝情報からタンパク質をつくる:セントラルドグマ
いわゆる「分子生物学のセントラルドグマ」の概要についてまとめていく。DNAは次世代に遺伝情報を渡すために、自らのコピーを作る必要がある。これが「複製」である。遺伝子DNAからRNA鎖を作るステップが転写である。RNAの情報を基にタンパク質を合成するステップは翻訳とよぶ。

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