典型的コイルドコイルタンパク質:ケラチン

コイルドコイルタンパク質ケラチン タンパク質:三次元構造

本記事では二次構造以上の三次元的な構造に入っていく。

二次構造といえば、αヘリックスとβシートの主に2種類あることはご存知だろう。
それらは二次構造内外で水素結合を多くつくることによって、非常に安定な構造を取る。

多くのタンパク質で見られるが、ここでは代表的なものとしてケラチンについて見ていく。

要点

ケラチン

  • 毛、角、爪、羽毛などの主要成分
  • 2本のαヘリックスが絡み合うコイルドコイルという構造を取る
  • 組織によってCys残基の含量が異なる。→ジスルフィド結合の数が組織の「硬さ」を生み出す
  • パーマはジスルフィド結合の切断(還元)と、酸化を利用

ケラチンの基本

すべての高等脊椎動物が持つタンパク質である。
機械的にも化学的にも安定な蛋白質で、毛、角、爪、羽毛などの主要成分となる。

哺乳類のαケラチンと鳥類・爬虫類のβケラチンと分かれる。
さらにヒトには組織特異的な約50種類以上のケラチン遺伝子がある。

研究で質量分析を用いる方にとっては、このケラチンは大敵となる。
なぜなら、実験者由来のケラチンがサンプルに混入することで、本来見たいピークが見えなくなることがあるためである。
あるMSスペクトルを得たものの、解析してみたらケラチンで肩を落とした人も多いことだろう。

それだけケラチンはあらゆる組織に普遍的にあるタンパク質である。

ケラチンの構造ーコイルドコイル

引用:

コイルドコイル - Wikipedia

αヘリックス構造によく似ている。

しかし、微妙に巻き方が異なっており、αヘリックス型の2本のポリペプチド鎖が互いに絡み合って左巻きコイルを作っている。

このようにヘリックスが絡み合う会合体のらせん構造体をコイルドコイルという。
ケラチンのような線維状のタンパク質に多く見られる構造である。

各ポリペプチド鎖の中央部分約310残基はa-b-c-d-e-f-gという7残基反復構造を取る。

上の図は各ヘリックスを上から(画面上から)見ていると考えてほしい。

αヘリックスは3.6残基で1回転することから、αケラチン中のaとdの残基はヘリックス中の片側に並ぶ。
このうちa,dは非極性アミノ酸が占めていることから、もう一方のαヘリックスの非極性残基(a’、d’)との会合を促すのに寄与する。

ケラチンの”硬さ”

もう1つαケラチンの特徴としてあげられるのが、Cys残基が多く存在することである。

Cys残基と言えば、ジスルフィド結合である。

ジスルフィド結合は隣り合うポリペプチド鎖と架橋していく。
多ければ多いほどタンパク質が固定されてしまうので、硬くなる。
もちろん、イオン結合や水素結合もあるが、共有結合であるジスルフィド結合は構造を固定するのに大きな影響を与える。

つまり、硫黄含量の多さが硬さに影響してくる。
毛、角、爪などの「硬い」ケラチンはCys含量が多く、変形しにくいが、柔軟性を欠く。
反対に皮膚は柔らかい、すなわちジスルフィド結合が少ないケラチンでできている。

ケラチンを感じる例ーパーマ

お洒落のためにパーマをかけるという人も多いだろう。
パーマをかける手順というのは、毛髪の主成分であるケラチンの性質を利用している。

パーマをかける時に使う薬剤には「1剤」と「2剤」がある。
1剤には還元剤やアルカリが含まれている。

還元剤がジスルフィド結合を切断し、アルカリがpHを変えることでイオン結合を切断する。
そうすることで「硬さ」の原因となる結合がなくなるので、ロッドで巻いてパーマの形を作れる。

形を決めたらそのままキープしておかなければならない。
そこで使用するのが2剤である。

2剤は臭素酸塩や過酸化水素といった酸化剤が含まれている。
酸化剤によって再びジスルフィド結合が形成されるため、パーマの形でキープされる。

このように、パーマは還元によるジスルフィド結合の切断と、再酸化によっておこなう。

参考URL:

ケミカル講座 vol.1「パーマのしくみ・基礎知識(1)」|デミ コスメティクス
まずは、毛髪の4つの結合を理解しておきま...

最後に

タンパク質の「硬い」「柔らかい」というのはイメージしにくいかもしれないが
パーマの例のように、日常生活に馴染み深いものもある。
こういうところから、興味の幅を広げてもらえれば幸いである。

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