化学結合の種類:概論

無機化学ノート

原子は他の原子と結合することで分子を作っている。

この化学結合について、どのような種類があるのかについて見ていく。
結合を知ると、水溶性や結合の強さなどといった化学的性質の理解につながる。

本記事の要点

イオン結合:陽イオンと陰イオンの静電的な結合
電気陰性度の差の大きい原子同士に多い
NaCl:Naが1個電子を放出、Clが1個電子を受け取る

共有結合:文字通り、二原子間で電子を共有
等核か異核かによって、結合の性質が少し異なる

配位結合:共有結合の特別なケース
電子が一方の原子(分子・イオン)から供給される
結合自体は、共有結合と区別がつかない。
このようにしてできた化合物は配位化合物もしくは錯体とよぶ。

イオン結合

イオン結合は、その名の通り陽イオンと陰イオンの静電的な結合である。
「反対の電荷を持つイオン」とは「電気陰性度の差が大きい」とも言える。

電気陰性度とは、原子が電子を引き付ける力の大きさのことである。

電気陰性度が小さいものは電子を放出して、陽イオンになりやすい。
金属原子はこの傾向が強い。最外殻の電子の数が少ないので、放出してバランスを保つ。

反対に、電気陰性度の大きいものは電子を取り込んで、陰イオンになりやすい。
ハロゲンなどの非金属原子はこの傾向が強い。
もう少しで最外殻電子を満たせるというものが多いので、電子を欲している。

原子同士の電気陰性度の差→片方の原子の電子殻から別の原子の電子殻へ電子の移動が起こることがある。

その電子の移動によって電荷をもった化学種(イオン)が生成する。一方は+で一方は-を持つので、それらは静電力によって結びつく。

イオン結合の例:NaCl

実際に例を出して説明してみる。
塩化ナトリウムはイオン結合をしているポピュラーな分子である。

Naは最外殻3s軌道に1個だけ電子を持っている。
→これを放出すると、Neと同じ電子配置になれるため、陽イオンになりやすい。

反対にClは最外殻は(3s)2(3p)5であり、あと1個電子があればArと同じ電子配置になれる。
そのため、電子がほしいと思っていることから、電気陰性度が高い。

1個電子を放出したいNaと、1個電子がほしいClとは需要と供給がマッチしているのだ。
そのため、この2つの間に電子のやりとりが起こり、2つは静電的に結びつく。

イオン結合

この結合こそイオン結合である。
電気陰性度に大きな差があるため、電子が強く分極しているという特徴がある。

共有結合

先程のイオン結合は、電気陰性度の大きい原子に電子が完全に渡っていた。
しかし、共有結合は文字通り、電子を原子間で共有することで安定化する。

共有された電子は、両方の原子に属していると考える。
そのようにして、最外殻の電子配置が安定になるようにしている。

より専門的にいうと、電子は原子核の周りを運動している。
二つの原子が互いに近い位置にあると、それぞれの軌道の間に重なりが生じる。
この重なった空間に電子が存在すると、「共有された」電子として扱う。

軌道の重なりが大きいほど、安定な結合が生じる。

等核二原子分子の共有結合

H2分子を見てみる。H原子は最外殻1s軌道に1個電子を持っている。
1s軌道の場合、2個の電子が入ると満たされる。

このようなH原子が2個集まると、互いの電子を1個ずつ共有しあう。
より具体的には、下の図のように互いの軌道を重ね合わせ、電子を共有する。

共有結合-1:等核2原子分子

両方の原子が半充填軌道を持っている場合、「完全な」共有結合が見られる。

異核二原子分子の共有結合

当然、結合する2つの原子が異なることも多くある。
その場合でも、結合を作ることはできる。

異なる原子では、原子間の電気陰性度に差があるため、共有された電子は電気陰性度の大きい方に引っ張られる。
その結果、結合としてはイオン結合と共有結合の中間の性質を持つ。

共有結合-2:異核二原子分子

配位結合

配位結合は共有結合の特別なケースとして考えることができる。
結合としては共有結合と変わらないが、違いは電子の供給され方である。

共有される電子は片方の原子から提供される。
つまり、互いの電子を共有するのではなく、一方が供給するのが配位結合である。

このとき、電子を供給する原子をドナー原子といい、電子を受容する原子はアクセプター原子という。
一般的にドナーは電子過剰、アクセプターは電子不足である。

配位結合

配位化合物(錯体)

このようにしてできた化合物は配位化合物という。
あるいは錯体といったほうが馴染み深いかもしれない。

中心原子もしくはイオンと、それを取り囲む電子豊富な配位子からなる。

中心原子に配位する配位子の数は通常2個から9個の間。
配位子は原子・イオン・分子でもなりえ、中性の錯体も電荷を帯びた錯体もある。

その構造は

  • 配位数:中心原子に結合している配位原子の数
  • 配位構造:配位子の幾何学的な配置や錯体全体の対称性

によって特徴づけられる。

中心原子は様々な酸化数をとるが、配位化合物を形成しても酸化数はほとんどの場合一定である。

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