アミノ酸は20種類だけではない:アミノ酸誘導体

amino-acid-derivative-eyecatch 生化学ノート

タンパク質は20種類のアミノ酸の組み合わせでできることは下の記事でもお話しました。
この20種類は「標準アミノ酸」とよばれています。

タンパク質の構成要素:20種類のアミノ酸
タンパク質はアミノ酸が数珠状につながったものである。個々のアミノ酸の性質がタンパク質の機能に重要であることは間違いない。タンパク質を構成するアミノ酸は20種類ある。アミノ酸としての性質は炭素に結合している側鎖が何かによって決定される。今回はタンパク質を構成するアミノ酸の性質について、細かく見ていく。

一方、タンパク質はすべて標準アミノ酸のみでできているかというと、そうではありません。
これは、タンパク質として合成された後に、化学的修飾を受ける事があるためです。
また、タンパク質の構成成分としてではなく、アミノ酸それ自体が機能を果たすものもあります。
その中には聞いたことがあるものもあるかもしれません。そんなものもアミノ酸だったり、出発物質がアミノ酸であるというのは意外と多いのです。

今回は20種類以外のいわゆる「非標準アミノ酸」というものに焦点を当ててみます。

タンパク質のアミノ酸側鎖の修飾

一旦タンパク質として翻訳された後に、アミノ酸残基に修飾が加えられたものです。
「これ、非標準アミノ酸か・・・?」と思うかもしれませんが、ここではそういうことにします。

代表的なものにリン酸化アセチル化というのが知られていますね。
この翻訳後修飾がなぜ起こるかというと、反応のON/OFFや効率・複合体形成といったタンパク質の機能を調節することができるようになります

ざっくりとした説明ですが、これはタンパク質によってケース・バイ・ケースです。
同じ修飾でもあるタンパク質は反応が促進され、しかし別のタンパク質では阻害がかかるということもあります。
また、タンパク質によっては脂質や糖鎖といった比較的大きなものが修飾される場合もあります。

少し特殊なケースにはなりますが、ノーベル化学賞で一躍脚光を浴びた緑色蛍光タンパク質(GFP)の蛍光も側鎖の修飾によるものです
GFP内の連続した3残基が修飾によって、蛍光団を構成することで、緑の蛍光を発します。

GFP-fluorescence-reaction

図 GFPの発色団形成の反応機構

生理活性アミノ酸

前項はタンパク質中に存在するアミノ酸残基の誘導体でしたが、ここで挙げるアミノ酸およびその誘導体というのは単独で機能を果たします。

神経伝達物質:GABA、ドーパミン

細胞間の化学メッセンジャーとしてGABA(γ-アミノ酪酸)ドーパミンがあります。
名前くらいはどこかで聞いたことがあるかもしれませんね。
これらは神経伝達物質として神経細胞から放出され、隣接細胞の行動に変化を起こします。

GABA-chemical-structure

Dopamine-chemical-reaction

図 (上)GABAの構造式 (下)フェニルアラニンからできるドーパミン

ドーパミンというのは、アミノ酸のフェニルアラニン(Phe)からチロシン(Tyr)を介してできています。また、更に反応が起こるとアドレナリンにもなります。

アレルギー反応:ヒスタミン

ヒスタミンはアレルギー反応を局所で強く仲介します
上記の生理活性アミノ酸は標準アミノ酸を前駆体として合成されています。

HIs-Histamine-reaction

図 ヒスタミンへの変換

その標準アミノ酸というのが図に書いてあるのですが・・・何かわかりますか?
(単に図の中に書き忘れてしまったのをクイズ形式にすることでごまかす)

正解はヒスチジン(His)です。脱炭酸反応によってヒスタミンになります。

その他:ホルモンや調節因子など

その他、ホルモンや調節因子として生理作用を持つものもあります。

タンパク質の精製でも用いることのあるグルタチオンもその一つです。

Glutatione-redox

図 グルタチオンの酸化還元

グルタチオンはGlu-Cys-Gly(GSHと表記)の3つのアミノ酸からなるトリペプチドです。
しかし、Gluは主鎖のカルボキシ基ではなく、側鎖のカルボキシ基でCysのアミノ基とペプチド結合ししているという特殊な構造を取っています。

GSHは酸化されることによって二量体し、グルタチオンジスルフィド(酸化型:GSSG)を形成します。
こうして自ら酸化されることによって、他の生体分子の酸化を防ぐ役割を持ちます。

最後に

GABAやヒスタミンなど、名前は比較的よく聞く化合物の名前も出てきました。

タンパク質の構成成分以外でのアミノ酸の役割というのはイメージしにくいかもしれませんが、近年ではGABAが疲労に効果があるとして食品に含まれるようになったりと、その機能は徐々に認知されてきていると感じます。

化学の視点から見てみると、それが生体内でどう機能しているのかを考えることができ、食品の安全などへと考えるきっかけにもなると思っています。
ですので、私としては化学物質の名前を聞いたらどういう化学的な働きをするのかを考える人が増えてくれればいいなと考えています。

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